障害者をしめ出す社会は弱くもろい
1,650円(税込)
「みんなのねがい」誌の好評連載、
「この国に生まれてよかった
この時代に生きてよかった」
に、「我が事・丸ごと」政策、災害と障害者、
ターニングポイント発言録を新たに加筆・編纂!
< 「はじめに」 より一部抜粋 >
本書のタイトルである「障害者をしめだす社会は弱くもろい」は、国際障害者年(1981年)にちなんだ国連決議文の一節から思い浮かびました。わずかずつながら、障害のある人の暮らしぶりは好転の方向にありました。しかし、ここにきて流れが変わろうとしています。社会の弱さやもろさを感じさせられる事象が、国の内外で一気に顕在化しているのです。
昨今の「優生思想」ですぐさま想起させられるのは、2016年7月に相模原市の「津久井やまゆり園」で発生した障害者の大量殺傷事件ではないでしょうか。被疑者の優生思想に満ちた蛮行に、日本中が震え上がりました。一方で、社会にはびこる優生思想と事件との関係を合わせみるとき、日本社会全体にとてつもなく大きな宿題を課せられたようにも思います。優生思想も排外主義も、そこに通底するのは、基本的人権の否定もしくは軽視です。
そんな中にあって、ひときわ映えるのが2014年に日本も批准した障害者権利条約です。私たちにとっての文字通り“北極星”です。北極星は、25項目の前文と50箇条の本則から成り、いずれも胸のすくような目標値です。ただし、その実現には前提条件が求められます。それは、地道で真摯な運動を絶やしてはならないということです。
大切さが増す障害者運動の拠りどころとして、個々の現場での実践の視座の研磨役として、障害当事者をはじめ、多くの関係者の手元に置いていただくことを期待します。
< 目次 >
はじめに
1.なお続く“この国に生まれた不幸”
2.戦争と障害者
3.障害児の全員就学と地域での運動起こし
4.エネルギー不滅の法則
5.地域で創り、全国とつながりながら
6.津久井やまゆり園での殺傷事件に思う
—「特異な事件」だけでは済まされない
7.抱きしめたい障害者権利条約
8.天国の先輩からも大きな拍手
9.運動は他者を変え、そして自分をも
10.あそこまではやれた私たちの国
11.憲法はずっとこれからも、そして安心保障を
12.災害大国と障害のある人
13.新たな政策潮流と運動の課題
—「我が事・丸ごと」政策の本質をどうみるか
資料【ターニングポイント発言録】
(1)参考人意見陳述 第162回国会 衆議院厚生労働委員会 2005年5月17日
(2)参考人意見陳述 第185回国会 参議院外交防衛委員会 2013年11月28日
(3)国連第7回障害者権利条約締約国会議 我が国発言骨子 2014年6月10日
(4)国連第7回障害者権利条約締約国会議 ラウンドテーブル 2014年6月11日
(5)障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団と
国(厚生労働省)との基本合意文書 2010年1月7日
おわりに
< 本書の出版にあたって >
このたび「障害者をしめ出す社会は弱くもろい」の書名で一冊にまとめ上げる運びとなりました。内容は、全国障害者問題研究会の月刊誌「みんなのねがい」への一年間(2016年度)の連載原稿をベースに、これに何点かを書き加えたものとなっています。多岐にわたる障害分野にあって、触れることができたのはごく一部かと思いますが、掲載した13のタイトルについては、それなりに問題の本質に言及したつもりです。エッセイ風の書きぶりで、比較的読みやすいかと思います。
障害当事者や家族を含む障害分野に携わっている人はもちろんですが、これから向き合おうとしている人にとっても、実態の概観や問題のとらえ方、課題の整理という点で参考になるのではないでしょうか。
参考と言えば、私が関与した日本の障害分野のターニングポイントに関する原稿についても、一部ですが資料編に付しておきました。障害者権利条約の批准直前の国会審議に際しての参考人意見陳述や日本国が初参加となった障害者権利条約第7回国連締約国会議でのラウンドテーブルでの発言録などです。
つきましては、まずは一読いただき、そのうえで普及にご協力願えれば幸いです。
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商品名 | 障害者をしめ出す社会は弱くもろい |
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商品番号 | 0086 |
メーカー名 | 全国障害者問題研究会出版部 |
著者 | 藤井克徳 |
発行年月日 | 2017年8月15日 |
規格 | A5版・144ページ |
ISBN | 978-4-88134-595-5 |
在庫 | 81 |
販売価格 | 1,650円(税込) |
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